石田流の基礎知識 石田流本組みとは

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※この記事は、2008年に書いた記事に加筆修正を加えたものです。

角交換しない▲9七角型石田流

「石田流本組み」とは、角交換しない▲9七角・▲7七桂型石田流です(第1図)。

【第1図は31手目▲5八金左まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v銀v角 ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v王 ・|三
|v歩v飛 ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 角 歩 桂 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 王 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=31  ▲5八金左まで

攻守に優れた美しい布陣です。

石田流本組みの特徴として、以下が挙げられます(石田流側を先手としています)。

  • 角交換無し
  • ▲6六歩型
  • ▲9七角・▲7七桂型

早い段階で▲6六歩と突いて角交換が起こらないようにしてから、▲7六飛で8筋を受け、その後▲9七角、▲7七桂と上がります。角上がりと桂上がりの順番はケースバイケースです。

美濃囲いが基本

囲いには特に規定はありませんが、バランスを考慮し美濃囲いにするのが一般的です。これは石田流すべての形に対していえます。

振り飛車穴熊(参考図)は、囲いが右辺に偏りすぎ(金が5筋・4筋ではなく、2枚とも3筋にくる、ということ) なきらいがあり、駒がうわずった軽い形である石田流とは相性があまりよくありません。

【参考図は37手目▲4八金左まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v王|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金 ・v銀v香|二
| ・ ・v歩v歩v銀v歩v角v歩v歩|三
|v歩v飛 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 角 歩 桂 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 香|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 金 桂 王|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=37 ▲4八金左まで

したがって石田流+穴熊は、上級者向きの布陣です。

組むチャンスが少ない

実は石田流本組みは、居飛車側が許してくれないと指せない形です。

【第2図は6手目△6二銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=6  △6二銀まで

第2図の△6二銀のところ、△8五歩と突かれていた場合、三間飛車側は▲7七角と上がって△8六歩を受けねばなりません。そうなると、▲9七角型にはなかなか組みにくくなります。

また、最近は対石田流の有力戦法である「棒金戦法」に対抗するため、石田流側はできるだけ▲9七角と上がる手を保留する傾向にあります。

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したがって、石田流本組みが実戦で生じるケースは今ではほとんどありません。

▲6八角や▲5九角と角を右側に引いてから石田流を目指すことはできますが、▲9七角型ではないためそれらの形は「石田流本組み」とは呼ばれておらず、 他の特定の呼び方もありません。

ただし、実戦で生じるケースはこの「名も無き石田流」の方が圧倒的です。居飛車が持久戦にしてきたときに、手にあわせて▲7五歩~▲6八角(5九角)~▲7六飛とするのが、 対居飛車持久戦の有力な戦法の1つとなっています。例えば以下の記事を参照下さい。

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石田流本組みまでの手順

石田流本組みまでの手順の一例を紹介します。第3図は、居飛車側が△8五歩と飛車先を詰めず△6二銀と上がったところです。

【第3図は6手目△6二銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=6  △6二銀まで

第3図以下の指し手
▲7五歩  △8五歩
▲7六飛  (第4図)

【第4図は9手目△7六飛まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v王v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=9  △7六飛まで

後手が8筋を詰めてこなかったおかげで▲7七角は不要となり、▲7五歩と突けます。この後に△8五歩とされても、▲7六飛と上がれば飛車の横利きで△8六歩を受けることができます。

以下、囲いを急がず一直線に石田流本組みを目指したときの一例が下記の手順です。

第4図以下の指し手
      △6四歩
▲7七桂  △6三銀
▲9六歩  △9四歩
▲9七角  △4二玉
▲7八銀  △3二玉
▲6七銀  (第5図)

【第5図は19手目△6七銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v王v角 ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 角 歩 桂 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ 金 王 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=19  △6七銀まで

攻守に優れた布陣

角の利きは、7五の地点をサポートしつつ、6四・5三の地点への攻めをにらんでいます。飛車の利きは、7五と6六の歩を捌けば縦横無尽。角の頭(9六の地点)をケアしてもいます。

また、振り飛車の陣形では珍しく左桂を跳ねているのも特徴的で、戦いが始まると▲6五(8五)桂~▲5三(7三)桂成とうまくさばける可能性が高いといえます。

ただしこの順は、あくまでも参考です。こんなに早く石田流本組みを目指してしまっては、 後手の方がそこそこの将棋定跡通であれば棒金戦法にされ、石田流側は痛い目に会うでしょう。

第5図から、後手が棒金を狙わず持久戦を目指してきた場合の一例が第6図。

【第6図は31手目▲5八金左まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v銀v角 ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v王 ・|三
|v歩v飛 ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 角 歩 桂 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 王 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=31  ▲5八金左まで

もちろん一局ですが、ここまで綺麗に石田流本組みが組めればこの先気分よく戦えるのではないでしょうか。

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