「三間飛車新時代」ひとくちレビュー

シェアする

f:id:Fireworks:20170914225011j:plain

「三間飛車新時代」が、ものすごい勢いで売れているそうです。

私もすでにKindle版を購入済みです。

本記事では、この「三間飛車新時代」のひとくちレビューをお送りします。

ネタバレにならないよう、手順は載せず、基本局面の一部のみ紹介します。

小倉久史七段と山本博志三段の共著

目次は、将棋情報局の下記の記事の中で、書籍通りに画像で紹介されています。

book.mynavi.jp

第1章「▲4六銀型石田流」(第1図)、第2章「急戦向かい飛車」(第2図)、第3章「三間飛車穴熊」が小倉久史七段の執筆。

【第1図は▲5八金左まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v王|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀v香|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三
| ・v飛 ・ ・v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 飛 歩 歩 銀 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 王 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 角 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0 ▲5八金左まで
【第2図は▲8八飛まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂 ・|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v王v香|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 銀 王 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0 ▲8八飛まで

第4章「△5筋不突き穴熊 対 ▲トマホーク戦法」(第3図)、第5章「△5四歩型 対 ▲5六銀揺さぶり」、第6章「流行の△3一玉型左美濃」(第4図)が山本博志三段の執筆となります。

【第3図は▲6七銀まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v王 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ 王 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0 ▲6七銀まで
【第4図は△1四歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金v王v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v銀v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 銀 ・ 王 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0 △1四歩まで

第3図から、居飛車が一直線に穴熊に組みにいけばトマホークへ、△5四歩と突く場合は第5章へ、という流れです。

第4図からは、主に居飛車が銀冠穴熊を目指してきた場合の対策が取り上げられており、最近話題の地下鉄飛車構想や中飛車構想などが非常に詳しく解説されています。

これらは銀冠穴熊 対 四間飛車での四間側の構想として有名ですが、三間から目指すこともできるわけで、石田流だけではない三間飛車の優秀性を表しているともいえます。

また、△3一玉型左美濃+△6五歩早仕掛け急戦対策も少し解説されています。

 

第7章の自戦記は、小倉七段と山本三段一局ずつです。

山本三段の自戦記が一般的な自戦記とは少し異なり、対戦相手の阿部光瑠六段との思い出、三間飛車党になったきっかけなど、自らのエピソードを数多く語っているのが非常に面白いです。

手厚さと軽快さ

じっくりとした戦術を主に解説する小倉七段に対し、隙あらば仕掛けられる戦術を解説する山本三段。

いい意味で、時代や流行、棋風の違いが色濃く表れています。

前述の山本三段の自戦記の中でも、山本三段が

手厚い将棋の師匠に対して自分はかなり軽いタイプ

と語っています。

小倉七段解説の戦術は比較的オーソドックスなので初級者向き、山本三段解説の戦術は激しい全面戦争になりやすいので上級者向きといえます。

対戦相手の違い

お二人の考え方や棋風に違いが出ている理由のひとつに、対戦相手の違いが挙げられるのではないでしょうか。

小倉七段が、

角道を止める三間には、99%が居飛車穴熊になる

と第1章の冒頭で述べているのに対し、山本三段は、

三間飛車には穴熊に組んで作戦勝ち、の常識が三間側の新手法によって揺らいでいる

と述べています。

威風堂々のプロ棋士達を相手にするベテランの小倉七段と、血気盛んな若手三段勢と四段昇段を争う山本三段では、対戦相手の戦術選択が大きく異なる(具体的には、後者には左美濃急戦が多い)ため、それに合わせた戦術を研究し採用することになります。

将棋は、自分だけで作戦を選べるわけではありません。

ネット将棋ではいろいろな対戦相手がいるので、対ノーマル居飛車穴熊、対銀冠穴熊、対△3一玉型左美濃、対棒銀と新旧いろいろな対策を学べる本書は、持っていて非常に心強いと思います。

コラム アマチュアの三間飛車研究家の方たち

コラムのひとつに、山本三段執筆の「アマチュアの三間飛車研究家の方たち」というコラムがあり、ここではトマホークを世に知らしめたタップダイスさん、カナケンシステムで有名なかなけんさんが紹介されています。

(下記リンクの通り、タップダイスさんも「三間飛車新時代」について感想を書いています。)

shogikindle.blog.fc2.com

kanaken.exblog.jp

残念ながら「猫だまし(初手▲7八飛)戦法」の紹介はありませんでしたが、コラムで述べられている「全国の(コアな)三間飛車党」のひとりに自分が入っていることを祈って、今後もできるだけ更新を続けたいと思います。

これからも小倉七段と山本三段を応援し続けます。

山本三段、ぜひとも四段に昇段してください。