NHK杯 宮本広志五段、得意の石田流で三浦弘行九段に挑む

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石田流▲7七角型 対 左美濃

第67回NHK杯テレビ将棋トーナメント2回戦、▲宮本広志五段 対 △三浦弘行九段戦。

本局の棋譜は、NHK杯テレビ将棋トーナメントのWebサイトで観ることができます。

cgi2.nhk.or.jp

宮本五段が先手という時点で確信した方もいたと思いますが、先手石田流 対 後手居飛車の対抗形となりました(第1図)。

【第1図は29手目▲2六歩まで】
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v銀v王 ・|二
|v歩 ・v歩v銀 ・v歩v角 ・ ・|三
| ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 飛 歩 銀 ・ ・ 歩 歩|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 王 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=29 ▲2六歩まで

三浦九段が選択した布陣は、相手の十八番に真っ向から立ち向かう△2二玉型左美濃です。

宮本新手「対左美濃▲2六歩」

第1図のように、▲3九玉・▲3七歩型での▲2六歩が、2014年11月の第73期順位戦C級2組、永瀬拓矢六段戦で宮本五段が初披露した新手。

宮本流とも呼ばれています。

より正確には、このあと▲2五歩△同歩▲1七桂!(第2図)と玉頭から襲いかかる構想までが宮本新手といえます。

【第2図は45手目▲1七桂まで】
後手の持駒:歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v金v王 ・|二
|v歩 ・v歩v銀 ・v歩v角v銀 ・|三
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 歩|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 歩 歩 ・ 桂|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 王 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩 
手数=45 ▲1七桂まで

宮本新手は、将棋世界2016年6月号の付録「新手年鑑2015」の栄えあるトップバッターを飾っており、藤井猛九段が

2015年度1番の振り飛車の新手

と賞賛しています(宮本流が初めて登場したのは2014年11月でしたが、2015年度に流行しました)。

宮本五段自身、宮本新手について詳しく解説した「わかる!勝てる!!石田流」をリリースしています。

このほか、戸辺誠七段の「石田流を指しこなす本【持久戦と新しい動き】(最強将棋21)」のなかでも解説されており、戸辺誠七段は

行き詰まった感のあった石田流▲7七角型に、大きな風穴を開けた斬新な新手

と述べています。

 

宮本流誕生の結果、居飛車が早めの△2二玉を避けるようになりました。

それほど影響力のある新手でした。

A級棋士の腕力

本局は第2図以下激戦が繰り広げられましたが、結果は三浦九段の勝利。

宮本新手を編み出した宮本五段相手に、臆することなく△2二玉型左美濃を選択した三浦九段。

相手がもっとも力を発揮する土俵上で貫禄の勝利。

さすがはA級棋士、戦型選択も終盤力も、見事というほかありません。